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就職ノウハウ

面接における愛嬌の重要性

Q.【ブログ記事】愛嬌のない応募者は内定を貰えない

A.

7月に入り、法科大学院修了生の採用枠を設けている超大手企業の選考も佳境に入って来ています。そうした中、既に何社か面接に進んだものの、どうにも面接に手ごたえを感じられないと悩んでいる方もおられると思います。

面接に関連して、先日、「就活で連戦連敗の泥沼。負の連鎖を断ち切った面接官の一言」という面白い記事を見かけました。

この作者は、大学時代に英語ディベートサークルに入り、全国大会で日本一になり、その経歴を武器に新卒の就職活動を行っていたそうです。そして、その際、

 

大学時代は英語ディベートに本気で取り組み、全国大会で日本一になりました、そこで得た<論理的思考能力>を御社で生かしたいと思います

 

というアピールを全面に押し出して就職活動を行っていたそうです。こうしたアピールのスタイルに何となくシンパシーを感じる方もおられるのではないでしょうか。

ところが、面接に行けども行けども連戦連敗、内定をひとつも貰えなかったそうです。

そこで、ある企業の面接の最後に、思い切って面接官に「自分の面接で悪かったところ」を質問してみたところ、次の言葉が返って来たと言います。

 

「君は良くも悪くも、間違ったことを言わなそうにみえる」

 

 

 

その一言で気がついた。<論理的思考能力>を強調する自分は、正論やきれいごとしか言わない、理屈っぽくて頭でっかちの奴だと思われていたのだな、と。サラリーマンは、清濁併せ呑まなければやっていけない泥臭い世界だから、理屈だけの部下とは働けない、面接官たちはたぶんそう判断していたのだった。

 

【出典】就活で連戦連敗の泥沼。負の連鎖を断ち切った面接官の一言 <「サラリーマン文化時評」#8>

https://hbol.jp/188948?cx_clicks_art_mdl=2_title 

 

 

これは、本当に決定的な“気づき”だと思います。法科大学院修了生の中にも、ご自身の論理的思考力を強調し、教科書的な正論・優等生的な発言に終始している方は少なくありません。そんな中、ご紹介した記事の作者は最終的に、

 

自分が面接で足りなかったのは「人間味」「かわいげ」「泥臭さ」だ。

 

と結論づけ、これらの要素を組み入れた自己PRを練り直したと言います。その結果、面接は盛り上がり、内定も次々と貰えたそうです。簡単に言うと、優秀さのアピールよりも人としての愛嬌を示すことに力点を移した結果、面接での評価が上がったということになります。

 

 

面接の評価基準を知ることの重要性

法科大学院修了生は長く正解と不正解の明暗がハッキリしている試験の世界で生きて来たからか、正解・正論を吐き出せることを過剰に高く評価する傾向にあると感じています。その結果、「論理的に穴のない返答」を繰り返すことで自分の優秀さが面接官に伝わり、面接選考を突破出来ると誤解している方が少なくありません。

 

しかし、選考を行うのは「人」ですし、入社後に一緒に働くのも「人」です。「人」である以上、一緒にいて居心地の良い人を高く評価し、一緒に働きたいと考えるのは自然なことだと思います。

その観点で、論理的に穴のない返答を繰り返す応募者を考えたときに、おそらく、大多数の「人」が、一緒にいて居心地の良い人とは感じないと思います。論理的な正しさが強調される人は、どこか上から目線で、押し付けがましく、柔軟性に乏しく、感情よりも論理を優先させるような人間味のなさを感じさせることが理由です。そして、それこそが、先述の作者が面接で落ち続けた理由にもなります。

このように、応募者が認識している評価基準と実際の選考で使われている評価基準がおよそ180度異なるという例は少なくありません。それゆえに、面接の評価基準を正しく理解することはとても大切だと言えます。

 

 

面接は論理的な説得の場ではない

弊社では、毎朝、インターン生同士で模擬面接を行っており、その様子を日々観察しておりますが、面接を「説得的な意見を披露する場」だと誤解している方が非常に多い印象を受けています。その結果、[①具体的な出来事→②感情の動き→③それを受けての思考→④行動]という一連の流れのうち、③思考、④行動の部分(私は~すればうまくいくと考え、~をしました)ばかりに焦点を当てて語る方がとても多い印象です。

 

しかし、ロジカルな『説得』だけで人の好感度を上げることは容易ではありません。人の心をポジティブに動かすのは、「なるほど、自分もそういう境遇に置かれたら、きっと同じように感じるだろうな」という『共感』に他ならないからです。そして、人が『共感』する対象は、①具体的な出来事と②それに対する感情の動きだと言えます。上述の作者が言うところの「人間味」「かわいげ」「泥臭さ」もまた、感情の共有により、初めて面接官に伝わるものだと言えるのではないでしょうか。

その意味で、面接は「説得的な意見を披露する場」ではなく、「自分自身の感情に共感してもらう場」と言うことが出来ると思います。

そのため、司法試験の論文試験では全く加点の対象とならなかった「感情」についての言及が面接での大事なポイントになって来ると言えます。

 

いかがでしたか。本日は法科大学院修了生の面接における『愛嬌』の重要性について解説して来ました。面接でのスマートな受け答えが出来ているはずなのにどうにも良い結果が出ないという方は、ぜひ、本記事を参考に、ご自身に起きた具体的な出来事とそれに対する感情の揺らぎの部分を積極的に自己開示するようにしてみてください。皆さんの面接を心から応援しております。

 

 

この記事を読まれた方は、ぜひ下記の記事も読んでみてください。

『法科大学院修了生の面接失敗15パターン』

『法科大学院修了生の面接で聞かれる質問』

 

 

 

 

【筆者プロフィール】
齊藤 源久

法科大学院修了後、大型WEBメディアを運営するIT企業にて法務責任者、事業統括マネージャーを担当した後、行政書士事務所を開設。ビジネス法務顧問として、数十社のベンチャー企業の契約法務や新規事業周りの法務相談を担う。

2014年より、株式会社More-Selectionsの専務取締役に就任。前職での採用責任者の経験・長年の法務経験・司法試験受験経験などを生かし、法科大学院修了生の就職エージェント業務、企業の法務部に派遣する法科大学院修了生向けの法務実務研修の開発・実施などを担当している。

 

 

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