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就職ノウハウ

法科大学院修了生の就職活動とアルバイト

Q.就職活動と並行する上でお薦めのアルバイトを教えてください。

A.

就職活動を行う法科大学院修了生の中には、アルバイトを並行して行う方も少なくないと思います。

しかし、アルバイトによって、企業からの評価を高めるもの、面接日程の調整がしやすいもの、就職先決定時に辞めやすいものなど様々です。

本記事では、就職活動と並行する上でお薦めのアルバイトについて解説して行きます。

 

 

就職活動中にアルバイトをすべきか

そもそも、就職活動中にアルバイトを行うべきか疑問に思う方もおられると思います。

アルバイトを行わなければ、一層、応募書類作りや面接対策に時間を使えますし、面接日程の調整のためにアルバイト先とシフトの調整を行う必要もなく、アルバイト先に気を遣って、内定先の入社時期を遅らせるなどの必要もなくなります。

しかし、個人的には、そうしたメリットを勘案してもなお、アルバイトを行うべきだと考えています。

一つには、就職活動にも交通費・スーツ代・カバン代・靴代等、相応の費用がかかるためです。先立つものがなくなると、就職活動が長期化したときに、一層大きなプレッシャーとなってのしかかって来ますので、費用面の不安なく就職活動ができる体制を整えておくことは重要になります。また、何より、採用担当者からしますと、30歳前後(就職活動中の法科大学院修了生の平均年齢くらい)の人間は「当然、働いていてしかるべき」という価値観を持っていますので、いまだ就職していないことはともかくとして、アルバイトすらしていないとなると、「自立する意欲が弱い人材」として、心証がかなり悪くなるおそれがあります。ましてや、過去にまともなアルバイトを一回もやったことがない方となりますと、一気に就職確率が下がる傾向にありますので、ぜひとも、アルバイトを始めた方がよいと思います。

 

 

法務職への就職活動が有利になるアルバイト

では、企業の法務職への就職活動の選考上、有利に働くアルバイトは存在するのでしょうか。過去の就職支援実績に照らし、企業側からの高い評価に繋がりやすいアルバイトというのは明確にあります。

 

1.法務実務が経験できるアルバイト

言うまでもないかもしれませんが、法務職の選考ではとにもかくにも「実務経験」が重視されます。そのため、「法務実務」を経験できるアルバイトに就ければ、就職活動上、かなり有利になります。もっとも、法務の仕事をアルバイトにタッチさせようとする企業はかなり稀ですので、そうしたアルバイトに就けるチャンスは正直少ないと思います。もし、法務アルバイトの求人がある場合には積極的にチャレンジしてみるとよいのではないでしょうか。

 

2.オフィス内で働くアルバイト

アルバイトの中には、店舗内で働くもの、工場内で働くもの、塾内で働くもの、屋外で働くものなど様々ありますが、お薦めなのが、「オフィス内で働くアルバイト」になります。

企業は募集職種に関する実務経験(例:法務の求人であれば法務経験)の次に「企業内での就業経験」を重視する傾向にあるためです。

データ入力系の事務や事業会社のコールセンター、eディスカバリー(電子証拠の仕分け業務)などであれば、比較的、未経験からでもアルバイト採用してもらいやすいと思いますので、法務アルバイトの次善の選択肢として前向きに検討してみるとよいと思います。

 

3.法律事務所でのアルバイト

その次に企業からのウケがいいのは、法律事務所でのアルバイトになります。企業とは異なる文化・風土・仕事の進め方を持つ職場とは言え、「法律に触れる仕事をしてお金をもらっている」という事実が、評価しやすいというのが主な理由です。法科大学院修了生であれば喜んで採用したいという法律事務所も少なくないと思いますので、地域の弁護士会のHP等にある求人情報から、アルバイト先を探すのも手だと思います。

 

4.対話力が求められるアルバイト

どの企業も、応募者に対しコミュニケーション能力を求めますので、業務内容として、高い対話力が求められるアルバイトを経験していると、企業からの評価に繋がりやすい面があります。

中でもお薦めなのが、家電量販店での接客アルバイトです。お客さんにどんどん自ら声を掛ける胆力が培われるのはもちろんのこと、専門知識をわかりやすく伝えるという面で法務職に通じるところがありますし、対話を重ねる中でお店として売りたい商品に徐々に誘導して行くスキルは、法務担当者としての交渉力の向上にも繋がります。実際、家電量販店の接客アルバイトの経験者は、総じて企業からの面接評価が高い傾向があります。

あとは、スターバックスなどの教育の厳しい接客バイトなども、企業からのウケが良いアルバイトの一つです。接客を通して、対話力・対応力などが培われている点が評価のポイントとなっているようです。

 

 

就職活動時の評価を上げにくいアルバイト

就職活動時の評価を上げやすいアルバイトがあるということは、上げにくいアルバイトもあるということになります。例えば、業務がほぼ一人で完結できるもので周囲の人との対話がほとんど発生しないアルバイト、他の法科大学院修了生とかぶりがちなアルバイト(塾講師、家庭教師etc.)などです。

 

 

就職活動時のアルバイトの選び方

このように、ひとえにアルバイトと言っても、企業からの評価は様々ですので、せっかくやるのであれば、企業から高い評価を得られるアルバイトを行った方が有益です。その一方で、「面接日程の調整のしやすさ」、「内定獲得時の辞めやすさ」も、アルバイト先を選ぶ上での重要な要素になります。

 

面接日程の調整のしやすさ

企業の面接は原則として平日9時~19時に設定されますので、土日にシフトに入れて、平日に休みが取りやすいアルバイト先が理想になります。また、一次面接は比較的、応募者の空いている日程を確認した上で面接が設定されることが多い一方で、最終面接では、面接官である役員のスケジュールを最優先に面接が設定される傾向があります。実際、「来週の●月●日●時」とピンポイントの日程を急に指定されることは珍しくありませんので、そうした不意のシフト変更にも、柔軟に対応してくれるアルバイト先が望ましいと言えます。

 

内定獲得時の辞めやすさ

中途採用枠(法務職の求人は原則、こちらの枠になります)では、遠方からの転居を伴わない限り、「内定受諾から1ヶ月以内に入社して欲しい」という意向の企業が大半になります。そのため、「アルバイト先との都合で、入社は3ヶ月先になります…」となった場合には、その時点で大きく採用の優先度を下げられてしまうおそれがあります。

少なくとも、内定受諾から1ヶ月以内に辞められるアルバイト先を選んだ方が就職確率を下げずに済むと思います。

 

ぜひ、アルバイトを選ぶ際には、①企業からの評価を高められるか、②面接日程は調整しやすいか、③辞めやすいかを総合考慮して選んでみてください。

 

 

この記事を読まれた方は、ぜひ下記の記事も読んでみてください。

『法科大学院修了生と面接日程の調整』

『法科大学院修了生と職務経歴書』

 

 

 

【筆者プロフィール】
齊藤 源久

法科大学院修了後、大型WEBメディアを運営するIT企業にて法務責任者、事業統括マネージャーを担当した後、行政書士事務所を開設。ビジネス法務顧問として、数十社のベンチャー企業の契約法務や新規事業周りの法務相談を担う。

2014年より、株式会社More-Selectionsの専務取締役に就任。前職での採用責任者の経験・長年の法務経験・司法試験受験経験などを生かし、法科大学院修了生の就職エージェント業務、企業の法務部に派遣する法科大学院修了生向けの法務実務研修の開発・実施などを担当している。

 

 

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