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就職ノウハウ

法科大学院修了生のための面接ケーススタディ(中編)

Q.就職活動をしたことがないため、企業の面接のイメージが湧きません。(中編)

A.

今回も前編に引き続き、法科大学院修了生が企業面接で頻繁に受ける質問への好ましい回答例・好ましくない回答例等を紹介します。

 

 

【質問case1】あなたのリフレッシュ方法を教えてください。

■評価を下げがちな回答例

「好きな音楽をかけながら部屋で読書することです」

「パーッと海外旅行に出掛け、綺麗な景色を見ることです」

 

<解説>

企業が採用活動を行うときには、候補者の心と体の健康をとても重視します。日本の法制度上、解雇へのハードルが高く、心身の健康不良を理由とした解雇が難しいことから、心身の健康を害した(害しやすい)人材を採用することが、企業側にとって大きなリスクとなり得るためです。

そして、上記のようなリフレッシュ方法を問う質問は、「上手にストレスを発散できる=心の健康を害しにくい」という推定のもと、主に候補者の心の健康を確認する趣旨で聞かれることが多いと言われています。

その意味では、上手にストレスを発散できることをアピールできる回答内容であれば、基本的には評価は下がらないと言えると思います。

 

それでは、企業は、どのようなリフレッシュ方法を「上手にストレスを発散できるリフレッシュ方法」と考えているのでしょうか。本来、リフレッシュ方法は、個々人が好きに選ぶべきものではあるのですが、複数の人事担当者の方のお話を伺う限り、面接ウケするリフレッシュ方法には如実な傾向があります。

それは、「誰かと」「外に出て」何かを一緒に行うリフレッシュ方法です。逆に、「一人で」「部屋にこもって」何かを行うリフレッシュ方法を披露した場合には、鬱々と一人でストレスをため込んでしまうのではと懸念される傾向にあります。

少なくとも、「誰かと」「外に出て」のいずれかの要素が含まれたリフレッシュ方法を披露した方が面接ウケすると思います。

 

 

【質問case2】最近、読んだ本は何ですか。

■評価が上がりづらい回答例

・法律系の書籍(基本書、雑誌等)

・資格系の参考書

・ライトノベル

 

■評価が上がりやすい回答例

・流行りのビジネス本

 

<解説>

本来、読書は個々人が興味の惹かれた本を自由に読むべきものだと思いますが、こと、面接評価という観点で、ウケの良い書籍とウケがそれほど良くない書籍とに分かれるのも事実です。

 

例えば、法科大学院修了生に関しては、履歴書を読んだだけで「法律に強い関心がある」ことは既に採用担当者に伝わっていると思いますが、そんな中で、法律以外の話題を展開しやすい、最近読んだ本に関する質問にまで、法律に絡めた回答をしてしまうと、法律命で興味関心の幅が狭い人材と、ネガティブに捉えられるおそれがあります。

また、成長意欲の強さ、勤勉さのアピールのために、資格勉強系の書籍を挙げる方もおられますが、そうなると、「また、資格試験の勉強か・・・」と、視野が狭い印象を与えるおそれもあります。

さらに、法科大学院修了生に対しては、「社会人経験がなく社会人として未成熟なのでは?」という偏見を持っている採用担当者も正直少なくありませんので、学生っぽい印象に繋がる書籍を回答すると、この偏見がより強化されるリスクがあります。

面接ウケを考えるのであれば、同世代のビジネスパーソンが読んでいそうな流行りのビジネス本を挙げるのが無難だと思いますし、そのように回答するために、一つ、その種の書籍も読んでおいた方がよいと思います。

 

 

【質問case3】今までの人生での一番の失敗はなんですか。

■評価を下げがちな回答例

・たいした失敗じゃないじゃんと思われる、小さな失敗談。

・ネガティブな流れで終わる失敗談。

 

<解説>

人の真価は、苦境に立たされたときにこそ現れると言われています。そして、採用担当者が面接時に失敗談を尋ねる主な理由は、応募者が苦境に立たされたときの振る舞い方・考え方を知りたいという点が大きいと思います。

法科大学院修了生の中には、「人生で一番大きな失敗は司法試験だけど、そう答えると、司法試験関連の話題ばかりになってしまう・・・」と危惧して、無理やり別の失敗談を披露する方がいますが、それが「なるほど、それは大きな失敗だ」と共感できるものであればともかく、「たいした失敗ではないような・・・」という感想を抱かせるものであったときには、人生経験が薄い、自己開示が弱い(自分自身を飾る意識が強く本音を話してくれていない)といったネガティブな心証に結びついてしまうおそれがあります。

その意味で、もし、ご自身の人生を振り返ったときに、一番大きな失敗が司法試験であったときには、臆せず、そのように回答した方がよいと思います。

 

また、採用担当者としては、「失敗談を通じて、苦境下における応募者の振る舞い・思考方法についてポジティブな情報を引き出したい」という思いがありますので、単に失敗を披露し、ネガティブな流れで終わるような失敗談は、面接評価を上げることができません。

月並みでありますが、失敗を乗り越えるためのポジティブな取り組みや、失敗から大きな教訓を得たといった話を、うまく添えて行く必要があると思います。

 

いかがでしたか?何気ない質問の中に、採用担当者の思いがけない意図が込められていたり、何気なく行った回答が面接評価を大きく左右することがあります。上記、面接対策のご参考になさってください。

 

 

この記事を読まれた方は、ぜひ下記の記事も読んでみてください。

『法科大学院修了生のための面接ケーススタディー(前編)』

『法科大学院修了生が面接に向けて行うべき準備』

 

 

 

 

【筆者プロフィール】
齊藤 源久

法科大学院修了後、大型WEBメディアを運営するIT企業にて法務責任者、事業統括マネージャーを担当した後、行政書士事務所を開設。ビジネス法務顧問として、数十社のベンチャー企業の契約法務や新規事業周りの法務相談を担う。

2014年より、株式会社More-Selectionsの専務取締役に就任。前職での採用責任者の経験・長年の法務経験・司法試験受験経験などを生かし、法科大学院修了生の就職エージェント業務、企業の法務部に派遣する法科大学院修了生向けの法務実務研修の開発・実施などを担当している。

 

 

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