法科大学院修了生の就職活動と年齢
Q.もう一回、司法試験を受けるか悩んでいます。企業就職活動において、年齢が一歳上がることのデメリットの大きさを知りたいです。
A. 普段、法科大学院修了生の就職相談に乗っていますと、ご自身の年齢の高さを気にされる方が非常に多い印象です。 実際、法科大学院修了生後に司法試験を規定の5回全て受験した方は、30歳前後になっていることが多く、学部新卒時に就職した方が、既に入社7年目を超えていることを考えますと、30歳前後で職務経歴がない人を企業が採用してくれるイメージは湧きづらいと思います。そのため、親・親戚・大学時代の友人等から「その年で職歴もなくて就職できるのか?」と心配をされることが多く、ご年齢の高さへの不安がより増幅されるという図式があるのだと思います。 しかし、弊社では30歳前後で職務経歴がない法科大学院修了生が、上場企業の法務部に正社員就職した事例は、枚挙にいとまがないほど多数あります。 それでは、就職活動を行う法科大学院修了生の平均年齢はどのくらいなのでしょうか。当社に登録していて就職活動を行っている法科大学院修了生の平均年齢が約28.5歳ですので、市場全体で見ても、おそらく、そのくらいが相場なのだと思います。 最近は学部卒業後、ストレートで法科大学院に進学される方が増えておりますので、24歳・25歳で法科大学院修了、そこから司法試験を3回前後受けて就職活動を開始するというのが平均的なモデルになっています。 法科大学院修了生の大多数は職歴をお持ちでない方になります。そのため、大多数の法科大学院修了生が「ポテンシャル採用枠(応募者のポテンシャルに着目して採用の有無を決める採用枠)」に応募することになります。 そして、ポテンシャル採用枠において、応募者のポテンシャルを計る上で最も重要されるのが“年齢”と“学歴”になります。 大多数の企業が、 「同じ未経験の人を採るのであれば、より柔軟性がありそうで、より長い期間育成が出来る若い人を採りたい」 という考え方を持っていることが理由です。 そのため、何の経験も積まないままに年齢を重ねた場合、単純にポテンシャル採用市場における人材価値がどんどん下がって行くことになります。感覚値で言いますと、20代後半で年間約8%ずつ、30代で年間14%ずつ下がって行くイメージです。 また、その結果、加齢により、応募出来る求人数にも違いが出てきます。28歳くらいまでの方が10社応募できるときに、29~34歳の方で5社ほど、35歳以上の方に至っては1社ほどと、かなり年齢により応募できる求人数は変わって来ます。 このように、年齢だけを重ねて行きますと、下りのエスカレーターに乗るように、ご自身の市場価値がどんどん下がって行きますので、可能であれば、受験勉強や就職活動と並行してご自身の人材価値を高めるような活動(企業での派遣・アルバイト等による就業経験、英語力の向上)を行うことをお薦めしております。 この記事を読まれた方は、ぜひ下記の記事も読んでみてください。 就職活動中の法科大学院修了生の平均年齢
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