必ず質問する項目とは
本日は、ベンチャー企業にて新規事業の統括として、人事・法務全般を担当されている方(ロースクール卒業生)に面接官を通して、司法試験経験者の印象や改善点などをご質問しました。
インタビュアー:吉田昌矢(株式会社More-Selections取締役)
吉田
まず、現在のお仕事の内容と入社の経緯を教えていただけますか。
Aさん
More-Selectionsさんからのご紹介で行かせていただいたインターン先のベンチャー企業にそのまま就職する形となりました。現在、2ヶ月に一つのペースで新規事業を立ち上げているのですが、そちらの統括と、人事・法務全般を行っております。
吉田
ズバリ、(担当した)仕事の難しさは何でしょうか。
Aさん
新規事業の統括という部分では、自社の持つ経営資源の中で、いかにお金を生む仕組みを作れるか。市場のターゲッティングから始まり、サービス作り、運用方法の確立まで、随所で判断力が求められますね。また、人事の部分では、とにかく人を見ること。チームのメンバーがストレスを溜め込まないよう、気を配ることにほとんどのパワーを使ってます。法務の部分では、やはりベンチャーだけに、世にないサービスを扱うことが多いので、事前にどんなリスクヘッジをしなければいけないかの予測が難しいところが悩みの種です。
吉田
次に面接についてお聞かせください。多くのロースクール卒業生、司法試験経験者を面接されてきたとのことですが、必ず質問する項目はありますか。また、その質問から何を把握しようとしているのでしょうか。
Aさん
当社に法律的知識以外に何で貢献出来ますか?という質問は必ず聞きますね。「会社に貢献するというのがどういうことか」をわかってる方なのか、そうでない方なのかを探る質問になります。多くの方が、有能な人ほど会社に貢献できると考え、この質問への回答として、「出来る人」アピールをされるのですが、当社が司法試験経験者の方に、最初の段階で求めているのは、有能さより、会社にどんな形でも貢献したいという姿勢を見せてくれることです。
吉田
司法試験経験者によくあるマイナス評価の例はありますでしょうか。
Aさん
私も同じ状況でしたので、偉そうなことは言えないのですが、過去の自分も含めて、「幼い。自己評価が高い。やりたいことが見えない。話し過ぎる。意見の言い方を知らない。」といった評価になる例が多く見受けられます。
吉田
応募書類(履歴書、自己PR書)で重視して見る箇所はどこでしょうか。
Aさん
これまで何か面白い経験をしているか、志望動機が使い回しじゃないか、志望動機が世間知らずなものとなっていないかを重視して見ることが多いですね。
吉田
他の就職活動中(転職希望者)と比べて劣っている点、優れている点は何でしょうか。
Aさん
転職希望者とは別枠なので、正直、厳密な比較はしていないです。ただ、体験を話す方が少ないのは顕著な違いですね。表面的な意見しか言わず、どこか評論家みたいな印象を受けます。業経験はなくても、自分の体験をいっぱい聞かせて欲しいですね。
吉田
最終面接者(社長、役員)は、応募者をどのような観点で採用されていると思いますか。
Aさん
当社では、他社の色に染まっていないポテンシャルの高い子を大事に育てたいという意向が強いですので、「素直でいい子」というのが一つのキーワードとなっております。その上で、社内の人間関係の輪に溶け込めるか、休みがちでないかを見ています。
吉田
今まで一番、好印象だった司法試験経験者の面接内容(どんな質問にどう答えたか等)を教えていただけますか。
Aさん
「当社に法律的知識以外に何で貢献出来ますか?」という先述の質問に対し、「自分は最初は貢献出来ることが少ないので、人より早くに会社に来て掃除等の雑務を引き受け、周りの人が少しでも気持ちよく働けるよう出来ることをやって行きたいと思います。」と答えた方がおられました。そういう方は、結果として、周りからも好かれ、色々と教えてもらえるので、スキル面での急成長も見込めますね。
吉田
ズバリ、企業に採用されやすい司法試験経験者の特徴とは何でしょうか。
Aさん
これまで面接させていただいた来た方を振り返って考えますと、成長意欲が高い、臆せず飛び込む、謙虚。このような方が企業に採用されやすいのではないかと思います。「出来る人」より、「教えたくなる人」と思われるようアピールされた方がいい気がします。
吉田
面接官を経験して、改めて司法試験経験者に対して企業が抱くイメージは何だと思いますか。
Aさん
頭でっかち。世間知らず。いい意味でも、悪い意味でもピュア。かなり厳しい言葉が並びますが、率直に言って、このようなイメージを抱く企業が多いのではないかと思います。逆に、面接の時に、そのイメージをひっくり返すことが出来た場合には、大きくポイントを稼げるかと思います。
吉田
ありがとうございます。しかし、入社数年で面接官を任されるというのはすごいことだと思いますが、なぜ所属している企業からご自身が面接官を任されたと思いますか。
Aさん
パッと見で、物腰が柔らかい印象があるのと、偏り過ぎずにバランスの取れた意見を言えるという社内での評価があると思います。会社からは、面接時に、フラットな目線で人を見ることを期待されています。
インタビューを終えて
厳しい言葉を多くいただきましたが、実際にロースクールを卒業されて就職活動をしたことや、面接官として多くのロースクール卒業生の面談をし、一緒に働いてきたからこそ強く認識されていることをお話いただきました。 自らの課題を真摯に受け止め、改善に向けて行動するというのは、ビジネスパーソンの基本中の基本といえます。