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就職ノウハウ

法科大学院修了生の面接で聞かれる質問

Q.面接ではどのようなことが聞かれるのでしょうか。

A.

就職活動の経験がない又は少ない法科大学院修了生にとって、「企業の面接」は未知の場です。そのため、どのような質問をされるのかは、かなり関心が高いところだと思います。

法科大学院修了生に対して企業側が行う質問の種類としては、(1)キャリアの軸を確認する質問、(2)人物面を探る質問、(3)仕事が出来そうかを探る質問と、大きく3つに分類されます。

 

 

■法科大学院修了生が面接で聞かれる具体的質問例

(1)キャリアの軸を確認する質問

応募者がキャリアを選択する上で何を大切にしているのか、どのような価値基準を持っているのかを探ることで、会社とのマッチ度・自社への志望度・入社後の短期離職確率などを確認する趣旨の質問になります。代表的な質問例としては、以下のようなものがあります。

 

 

☑ 法曹を目指したきっかけと時期

 

☑ 大学を選んだ基準

 

☑ 大学卒業後、就職ではなく法科大学院進学を選んだ理由

 

☑ どのような法曹を目指していたか

 

☑ 事務所ではなく企業に就職したい理由(合格者の場合)

 

☑ 企業に就職するのであれば、なぜ修習に行ったのか(合格者の場合)

 

☑ 今後の司法試験の受験意向(不合格者の場合)

 

☑ 司法試験から撤退する理由(不合格者の場合)

 

☑ パラリーガルではなく、企業就職を目指す理由(不合格者の場合)

 

☑ これから企業に入ってどんな仕事がしたいか

 

☑ 志望動機

 

 

 

人生の分岐点となる「選択」の場面で、どのようなことを考え、何を重視して「選択」して来たかが問われる質問です。ふわっとした回答になりますと、周囲に押し流されるようになんとなく人生選択をして来た人だと思われてしまいますので、昔を振り返り、各時点で何を考えたかを思い出し、説得力のある回答となるよう整理する必要があります。

 

また、司法試験の受験意向については、受験意向が見えた時点で落選となる可能性が高いですので(すぐに辞める可能性がある人を未経験から育てるのは無駄骨に終わるおそれがあるため…)、司法試験への未練を完全に断ち切った状態で選考に臨み、面接中も未練がないことをしっかりとアピールする必要があります。

 

さらに、未経験者の採用は企業から見ますと、「投資」の色合いが強いですので、やる気とビジョンこそが、企業側の投資のモチベーションを上げる最大の要素になると思います。やる気も見えず、どんな事業をしたいかも見えない起業家に投資する人はいないのと同じです。

そのため、企業に入って何がやりたくて将来どうなりたいかというビジョンを、出来るだけ具体的に示せるよう、情報収集等も含めた事前の準備が重要になって来ます。

 

 

(2)人物面を探る質問

一旦、応募者を採用しますと、一年の平日のうちのほとんどを一緒に過ごし、共に困難を乗り越えていくパートナーとなりますので、応募者がどのような人柄なのかは、採用担当者にとって最大の関心事です。ほとんど学部新卒の方が面接で受ける質問と同じようなものとなりますが、代表的な質問例としては、概ね以下のようなものがあります。

 

 

☑ あなたの長所と短所を教えてください。

 

☑ 周囲からのあなたの評判はどのようなものですか。

 

☑ 子供の頃、どんな子だと評されてましたか。

 

☑ 座右の銘を教えてください。

 

☑ 今までの人生での一番の失敗はなんですか。

 

☑ 今まででの人生で、一番の困難を乗り越えた経験を教えてください。

 

☑ 尊敬する人とその理由を教えてください。

 

☑ 直近で一番頭に来たことを教えてください。

 

☑ 最近起きた嬉しかったことを教えてください。

 

 

特に正解がある質問ではありませんので、基本的には、具体的なエピソードを織り交ぜながら、本音に基づいて真摯に回答していけばよいと思います。

ただ、この種の質問は、自分自身の強みを伝える上でかっこうの質問になりますので、芸能人が行っているようなイメージコントロールを意識した方が、適切にご自身の人物像を伝えることが出来ると思います。例えば、法科大学院修了生に対しては、世間一般の偏見として、「真面目、理屈っぽい、インドア志向」といったイメージを持たれがちです。そして、その点に無頓着なまま、真面目であること、理知的に考えられることなどを上塗りしてアピールした場合、「よくいる法科大学院修了生」というイメージだけが強化されてしまい、ご自身の強みが十分に伝わらないおそれがあります。

その意味で、世間一般の方≒採用担当者が抱いている、法科大学院修了生に対するイメージとは別の切り口の強みを意識し、その強みが伝わる具体的なエピソードを披露することが重要になります。

 

 

(3)仕事が出来そうかを探る質問

仕事を遂行する上で必要な能力があるか、心身のタフさを備えているかなどを確認する質問になります。代表的な質問例としては、以下のようなものがあります。

 

 

 

 

☑ 今日、ここまでどうやって来ましたか。

 

☑ 自己紹介をしてください。

 

☑ 最近、読んだ本は何ですか。

 

☑ 最近、気になるニュースを教えてください。

 

☑ 法科大学院で学んだことを教えてください。

 

☑ 未経験だと思いますが、どのように会社に貢献できますか。

 

☑ リフレッシュの方法を教えてください。

 

☑ 普段、体を動かしたりしますか。

 

 

これらの質問のうち、交通経路の説明や自己紹介などは、適切な分量でわかりやすく物事を説明する能力があるか否かを見ていると言われています。また、関心のある本・ニュースなどの質問からは、応募者の精神的な成熟度、ビジネスパーソンとなるための準備が出来ているか否かなどを読み取れると言われています。

法科大学院で学んだことと法務の仕事との繋がりに関する質問は、単純に「法科大学院修了生のことをよく知らないので知りたい」という意図で聞かれるケースもありますが、わかりやすく説得力のある主張が出来るかを確認する意図もあるようです。

さらに、リフレッシュの方法・運動面等の質問については、うまくストレス発散して気持ちを切り替えることが出来る方なのか、健康的な肉体を有しているのかなどを探る意図で質問されることが多いと言われています。

 

番外編として、「うちの会社の法務部は~で困っているのですが、●●さんならどうしますか。」といった実務を理解していないと答えるのが難しい質問をされることがあります。この種の質問に対しては、応募先企業の業界、取り扱っている商材などから、どのような類型の契約書を取り扱う可能性が高いのか、どのような法的トラブルが起こる可能性があるのかなどを事前に研究して面接に臨む必要がありそうです。

 

 

想定問答集の是非

法科大学院修了生の中には、司法試験の名残からか、論点集のような面接の想定問答集を作成し、回答を暗記して面接に臨もうとする方がいます。しかし、個人的に、こうした想定問答集を作成することには反対です。面接当日はどうしても緊張してしまうので、暗記したことが飛んで真っ白になることが多々ありますし、何よりも、面接は「質問をよく聞いて、それに対する答えをその場で考え、本音で回答するコミュニケーションの場」ですので、暗記してきたことをそのまま吐き出すコミュニケーションを行った場合には、どうしても、コミュニケーションとしての不自然さが醸し出されてしまうからです。

また、何かを暗記して来た場合には、どうしてもそれを吐き出したくなるため、「聞かれていることに答える」というよりも、「答えたいことを答える」というニュアンスが強くなる傾向があります。

 

もっとも、事前に想定問答を行うこと自体は、過去の記憶の喚起と整理という観点から、非常に有効だと思いますので、文章を暗記するための想定問答集を作るのではなく、「この質問のときにはこのエピソードを話す」くらいの緩い紐づけで、過去のエピソードを事前に整理しておくとよいと思います。

 

本日は、法科大学院修了生が面接でよく聞かれる質問例をご紹介しました。本記事をご参考に、面接で普段の力が発揮できるよう、良い準備をして面接に臨んでみてください。

 

 

 

この記事を読まれた方は、ぜひ下記の記事も読んでみてください。

『法科大学院修了生が面接に向けて行うべき準備』

『[面接対策]10年後のビジョンの描き方』

 

 

 

 

【筆者プロフィール】
齊藤 源久

法科大学院修了後、大型WEBメディアを運営するIT企業にて法務責任者、事業統括マネージャーを担当した後、行政書士事務所を開設。ビジネス法務顧問として、数十社のベンチャー企業の契約法務や新規事業周りの法務相談を担う。

2014年より、株式会社More-Selectionsの専務取締役に就任。前職での採用責任者の経験・長年の法務経験・司法試験受験経験などを生かし、法科大学院修了生の就職エージェント業務、企業の法務部に派遣する法科大学院修了生向けの法務実務研修の開発・実施などを担当している。

 

 

 

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