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就職ノウハウ

法科大学院修了生が書類選考で落選となる理由

Q.【ブログ記事】書類選考が通過しない理由

A.

就職活動中の法科大学院修了生の中には、『なかなか書類選考が通過しないこと』に悩んでいる方も少なくないと思います。その一方で、書類選考落選の理由を明示してくれる企業は、実は多くはありません。今回は、就職活動中の法科大学院修了生にとっての一種のブラックボックスとなっている「書類選考」について考えて行こうと思います。

 

 

書類選考での落選が続いたとき、多くの法科大学院修了生は、「何か書き方が悪いのでは?」、「アピールが足りないのでは?」と考えがちです。実際のところ、法科大学院修了生の書類が通らないケースでは以下の2つの理由が考えられます。

 

 

・年齢、学歴、資格、その他経歴(いわゆるスペック)が企業が求めるラインに達していない

・書類の印象が悪い

 

 

 

 

書類選考と“スペック”

【ブログ記事】そもそも、「就職活動」とは何か?でも述べましたが、就職・転職市場においては、人は自分の市場価値に見合った選択肢しか手にすることが出来ません。そして、こと、法科大学院修了生の選考においては、企業側が市場価値の物差しとして重視するのが、年齢・学歴・資格・その他経歴といった「スペック」になります。

 

どのようなスペックを持っていると書類選考を通るかのラインは、企業側が絶対的な基準として事前に設けている場合もありますし、応募者全体のスペックの分布を見ながら、相対的な基準を設ける場合もあります。

いずれにせよ、書類選考で落選するケースの8~9割は、スペックが求められているラインに達していないことに起因しています。

 

書類選考と“書類の印象”

上述のように、書類選考の結果の大部分は、応募者のスペックにかかっていると言えますが、スペックが十分に高いにも関わらず、書類選考が落選となるケースがあります。それは、単純に書類の印象が悪いケースです。

採用担当者からの印象が悪い書類の特徴をまとめると以下のようになります。

 

 

➊誤字脱字、様式面の乱れ(表の罫線の一部だけ太い、履歴書が3枚に及んでいるetc.)が多い、日付が他社に応募したときのままになっているなど、書類作成能力が疑われる

 

➋「~であるところ、~。」、「けだし」、「思料します」などの、司法試験論文用語・判例文用語をふんだんに使い、浮世離れした印象を与える

 

➌小難しい単語を多用し、教科書的な抽象的記述が多いため、読了するのに読み手に過度な集中力が求められ、読み手のモチベーションを下げる

 

➍自己PRへの意識が強すぎるあまり、過度に自分を褒めたたえる記述を繰り返し、「プライドが高そう」な印象を与える

 

➎使い回し感がありありで、志望度が低そうに見える

 

❻文章が論理的に破たんしており、論理的思考力・文章力に疑問を抱かせる

 

 

 

 

こうした書類を提出してしまいますと、「お勉強は出来るけど仕事は出来なそう」、「専門用語を並べ立てるだけで、普通のコミュニケーションが取れなそう」、「気さくに仲良くなれなそう」という誤った印象を与え、大きく評価を下げてしまう要因になります。

 

 

書類選考の通過率を上げる方法

以上を踏まえた上で、どうしたら書類選考の通過率を上げることが出来るかを考える必要があります。

 

(1) 自分のスペックで望めるベストポッシブルを知る

極端な話、選考通過が期待できる企業にだけ応募を続ければ、当然、書類選考の通過率は上がります。それでは、自分自身にとって、「選考通過が期待出来る中での最上の選択肢」、すなわち、自分自身の「ベストポッシブル」を把握するにはどうすれいいのでしょうか。

 

一つは、さみだれ式にどんどん応募を行い、それらの選考結果から、自分自身のスペックが市場においてどのように評価されているか、何となくのポジションを把握するというやり方があります。複数企業への応募の負担、落選が繰り返されることによる精神的な負担などがありますが、自分自身の評価を肌で感じるという意味では、これほどわかりやすいやり方はないかと思います。

ただ、企業側では求人票に記載していないような裏の要件を設定していることが少なくありませんので、落選という事実一つとっても、スペックの不足が理由なのか、裏要件を満たしていなかったことが理由なのかが不明瞭なところがあります。その辺が、ご自身のスペック評価の判断を難しくさせるところでもあります。

そこで、もう一つ考えられるのが、人材紹介会社のエージェントに相談するというやり方です。ご自身と似た経歴の登録者の支援実績の豊富な人材紹介会社であれば、どのくらいのスペックがあると、どのくらいの選択肢が望めるのか、統計的・感覚的に把握しているはずです。また、人材紹介会社に対しては、企業側が設定している裏の要件についても開示されることが少なくありませんので、人材紹介会社の中では、書類選考の結果がスペックを要因とするものなのか、裏要件に該当していないことを要因とするものなのかが、ある程度明確になっていることが多いと言えます。その意味でも、より厳密に、スペックと市場価値の関係を把握している存在と言えるのではないでしょうか。

 

(2) スペックを上げる

書類選考の通過率を上げる一番直接的な解決法は、ご自身のスペックを上げることです。もっとも、年齢・学歴といった、ポテンシャル採用におけるスペック評価の根幹をなす二大要素については、今さら変えることは叶いません。でも、派遣・アルバイト等で実務経験を積む、英語力を高めてTOEICのスコアを上げる、司法試験の短答式試験不合格な方はビジネス法務検定2級などを取得するなどして、今からご自身のスペックを上げることは十分可能です。

スペックが上がれば、ご自身が望めるベストポッシブルな選択肢も必然的に上振れし、それだけ就職先の選択肢を増やすことが出来ます。

 

(3) 書類の印象を上げる

せっかく、スペックのミスマッチの問題を解消させたとしても、書類の印象が悪いせいで書類選考に落ちてしまっては、元も子もありません。

まずは、書類作成能力が疑われないよう、様式面でのチェックシートを作成し、書類提出前には毎回、そちらのチェックシートに照らし合わせて、不備がないかをチェックしてみるとよいと思います。その上で、周囲の知人に向けてのチェックシートを作成し、文章が論理的に破綻していないか、抽象的な記述が多くないか、違和感のある表現はないか、過度に自己評価が高い印象を与えないか等を自分以外の第三者にチェックしてもらうのがよいのではないでしょうか。

 

ここまで、書類選考の評価の仕組みと書類選考の通過率の上げ方について考えて来ました。

今後の応募時のご参考になさってください!

 

 

この記事を読まれた方は、ぜひ下記の記事も読んでみてください。

『法科大学院修了生向け履歴書・職務経歴書の雛型

『【ブログ記事】“ポテンシャル採用枠”における採用基準』

『法科大学院修了生の書類失敗パターン』

 

 

 

 

【筆者プロフィール】
齊藤 源久

法科大学院修了後、大型WEBメディアを運営するIT企業にて法務責任者、事業統括マネージャーを担当した後、行政書士事務所を開設。ビジネス法務顧問として、数十社のベンチャー企業の契約法務や新規事業周りの法務相談を担う。

2014年より、株式会社More-Selectionsの専務取締役に就任。前職での採用責任者の経験・長年の法務経験・司法試験受験経験などを生かし、法科大学院修了生の就職エージェント業務、企業の法務部に派遣する法科大学院修了生向けの法務実務研修の開発・実施などを担当している。

 

 

 

 

 

 

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